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2005年03月14日

ダメ派遣.NET 意外すぎる派遣先の決まるまで

 突然ですが、わたしが今、平日昼間に会社でやっている仕事のメインは、Visual Basic .NETで社内用のツールを作ること、VBAでExcelやAccessのマクロを組むことです。時々CGIなども作っています。

 といっても、間違ってもプログラマーなどとは思っていません。少なくともプログラマーとしてのアイデンティティなどという高尚なものは持ち合わせていませんし、本物のプログラマーの方からすればVBAはもちろんのことVisual Basicも子供のオモチャだということもわかっています。
 そもそも、わたしほどプログラミングに向いていない人間もなかなかいないように思います。「多芸是無芸也」を額に入れたような器用貧乏ではありますが、根がいい加減なので、一文字間違えたら全部パーなどという世界に適性があるわけがないのです。随分色々な仕事をしてきたものですが、まさかこんな職につくことになるとは、さすがに想像もしていませんでした。
 まずは、こんなことになってしまった経緯からお話し、恥をさらしてみようと思います。

 事の起こりは去年の年末。短期派遣の期間も終了間際で、次の派遣先も決まらず、自宅仕事は果てしなくお金にならず、で焦っていた時のことです。
 別の派遣会社からweb温泉ライターというわけのわからないオファーを受けていて、とりあえずこれでつなぐしかないか、と思ってはいたのですが、諸事情からかなり信頼していない会社だったので、不安でいっぱいなところでした(ちなみにこの件は「企業経験の少なさ」を理由に向こうから切られました)。
 丁度そんな時、わたしが唯一信頼している派遣会社から電話がありました。
「○○さん、シスアド持ってますよね? もうすぐ今の仕事終わりですよね? VBとVBAの仕事があるんですけれど」
 えーと、わたし、翻訳か英文事務ということで希望を出していたと思うんですけれど……。
「いやぁ、助かりました。できる人がいないんで、さんざん探したんですよ」
 内心かなり慌てたのですが、お仕事とあらば一応平静を装うしかありません。確かに仕事がなくて困っていましたし、選べる立場ではありません。とりあえずは「詳しいことを伺って」とつなぎました。向こうは「競合もないので、是非!」という根拠のない勢いだったのですが、まだ希望が残っていた温泉ライターの件と報酬的にはタイだったので、本当に何とも言い難かったのです。
 どちらの会社、ということでは、迷わずこちらの派遣会社です。確かにシスアドも持っています。
 でもシスアドなんて本買ってきて一ヶ月勉強すれば誰でも取れます。実力とは何の関係もありません。というか、VBなんて見たこともありませんし、この時点ではそもそも「ブイビー」というのが一体何なのかすら知りませんでした。何せ自宅ではMacintoshしか触ったことがないのです。
 プログラミングに似たこととして経験があるものといえば、javascriptで遊んだこと、FLASHのActionScriptでグリグリ動かしたこと、Perlをかじりかけて挫折したこと(今でもPerlは好きになれません)、Excelで自動記録のマクロを覗いたことがあるくらいです。恐ろしいことに、VBAとVBの区別もついていませんでした。
 温泉ライターの件もあることを素直に伝えてみたところ、「優先順位を決めて欲しい」とのお答え。お仕事を頂く立場として、事実をありのままになどとても伝えられないのですが、自信のなさを臭わせても「勉強しながらやってくれればいいし」と、ありがたいやら困るやら。もう考えるのも面倒になって「やります!」と言ってしまいました。
 聞いてみたところ、最初の任務は「Word文書やgifやExcelのデータをPowerpointに流し込むマクロ」を作ることらしいと判明。一体なんですかそれは。
 生返事ではぐらかしている間に必死でリサーチし、「VB」やら「VBA」やらが一体何であるかくらいはつかみかけていたのですが、知れば知るほど向いてなさそうです。幸いお正月休みが控えていたので、とにかくやってみるしかない、と本屋さんへ。普通のVBAですらほとんど知らないのに、OFFICE連携なんていきなり訳がわからなさすぎます。入門書の類いをパラパラ見ると、思っていたほど難しいものではなさそうですが、「セルをコピーする」やら、要求されているものとはかけ離れた稚拙なことしか書いていません。
 でもやるしかないです。
 何の頼りもないまま、とにかく詰め込み教育です。顔合わせでも自信のなさを相当漏らしてしまい「絶対不採用だろう」と思っていたらなぜか決定。激しく希望した仕事では落とされまくっているのに、世の中わかりません。とりあえずVBAの基本はインプットして、泣きそうになりながら初出社です。
 結局最後の「Powerpointに」は「Wordに」の間違いとわかったのですが、それでもまるで未経験の世界です。詳しい人から見たら稚戯に等しい、ということも今では理解できるのですが、この時は本当にパニックでした。始めて三日目でお友達に泣きの電話を入れたくらいです。
 それでも気合いでツールを完成。我ながら凄まじい学習スピードです。はっきり言って、普通のExcelの操作すら、去年の秋くらいまでは決して得意ではありませんでした。それが正月一つでOFFICE連携VBAを作り上げたのですから、自分でも褒めてあげたいところです。ちなみにこの時点では、webにもつなげないマシンで作業していました。

 ほっと一息ついていたわたしの机に、ボスがドカッと置いたものがありました。見ると「VISUAL BASIC .NET」「VISUAL C++」と書いてあります。さらにその上には、某地図コンポーネントの箱が。
「……これ、何ですか?」
「あ、そんなに急いでないんだけど、ログファイルからmdbに落とし込んで、そこからGPS情報を地図に展開するの、VBでやって欲しいんだよね」

 ……えーと?

 その後の詳細は割愛しますが、とにかくVBAの次はVB.NET。VB6ならまだ素朴でわかり親しみ易かったのですが、.NETには本当に苦しみました。基礎もない中で、理論と超実践の勉強を平行して進め、泣きそうになりながらMSDNをさまよい、必死でオブジェクトを探しました。周囲に頼れる人もほとんどいない状況で、VBもよくわからないのに、C系でしか見つからない情報も気合いで解読し続けました。
 でも何でもやってみるものです。いつの間にやら、VisualStudioが自分のコックピットになりました。朝起動してこの画面を表示すると、カタパルトから射出されるアムロの心境になります(この発想が既にヲタ女子)。
 さんざんパニクりながらも、その実かなり楽しんでいました。基本的に追いつめられるのが好きなのかもしれません。曙光が見えてくるにつれて、この新しく美しい世界が面白くて仕方なくなりました。もっと早くから始めていればよかった、と本当に思います。

 わたしの席の周りはIllustratorで地図を作っている人が多いので、何やら画面に謎の文字ばかり表示しているわたしは「プログラマー」「SE」だと思われています。でも全然違うんです。一杯いっぱいなんです。契約書には「OAオペレータ」としか書いてありません。「ちょっとExcelに詳しいお姉さん」なんですってば。
 逆に言うと、この環境が幸いしたのかもしれません。デザイン系の子は、ちょっとしたマクロを組んであげるだけでも魔法を見るように感謝してくれたりします。全然大したことなどやっていないのに、面映いやら嬉しいやらで涙が出そうです。そんな暖かい人々に囲まれたお陰で、根性ナシのわたしでもなんとか成長できたのでしょう。

 今後も立派な「プログラマー」になったりすることなど一生ないでしょうし、そもそもショボいツールを作るだけでプログラミングの名に値するようなこともしていないのですが、日銭稼ぎとしてはお釣がくるくらいエキサイティングです。しかも会社自体はのんびりペースなので、好き放題にやらせて頂いています。
 「人生、何があるかわからない」とは、波瀾万丈な歩みの中で何度も思ったことですが、今回はなかなかラッキーな出会いでした。

 これから数回は、周囲の方や、ネットでわたしの代わりに恥ずかしい質問をしてくれたチャレンジャーたちへの感謝も兼ねて(いや、彼らの恥は本当にムダになってないですよ!)、短期集中学習で役に立った書籍、現在活かしていることなどを公開していきたいと思います。


 それにしても、一体これからどうやって生きていくんでしょうね、わたし。綱渡りに継ぐ綱渡りで、ますます社会的に使えない存在になっている気がするのですが……。

『派遣戦士山田のり子 1』アクションコミックス たかの宗美 双葉社 650円

PR:派遣のお仕事探しならはたらこねっと
宣伝になってしまいますが、本当にココがきっかけで仕事が決まりました(笑)


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