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2005年01月12日

『エンジェル・ダスト』『エレクトリック・ドラゴン 80000V』

 PFF系監督特集をしてしまっていますが、ここまできたら石井聰互監督に触れないわけにはいかないでしょう。『高校大パニック』で鮮烈にデビューした疾走映画監督です(DVDがあったので驚いたのですが、8ミリを35ミリでリメイクしたものでした)。
 『狂い咲きサンダーロード』『爆裂都市 Burst City』と暴力ものが続くのですが、初期作品で有名なのがこの映画です。

『逆噴射家族』 石井聰互 1984
 Amazonの解説では「スーパー・バイオレンス・アクション・ギャグ・ファミリー・ドラマ」という長過ぎるキャッチがついています。「念願のマイホームを建てたことから、次第に歯車が狂い始めていく一家の姿をバイオレンス・タッチで描いた異色ドラマ」というのはその通りなのですが、全然シリアスではありません。めちゃくちゃです。時代を感じさせるノリではありますが、バカバカしくて結構好きです。
 オフィスにいる小林克也からキャメラがトラックバックしつつ望遠で寄る(人物の画面上の大きさが変わらないまま、望遠レンズの圧縮効果で奇妙な視覚的トリックが生まれる)という手法は、この作品あたりが元祖なのではないかと思います。ちなみに、デビューしたばかりの工藤夕貴のスクール水着姿でも知られています(笑)。

 そんな石井監督が十年の沈黙を破り、一転してサイコドラマに挑んだのが、1994年のこの作品です。
『エンジェル・ダスト』 石井聰互 1994
 好きです。
 この後の『水の中の八月』がカルト的人気を誇る中で、今ひとつ十分に評価されていないような気がするのですが、切なくて素敵な映画です。「脱暴力」はじめのバランスの悪さはあるのですが、そんなぎこちなさ、苦渋がさらにリアリティを増しています。

?大都会の喧噪の中、若い女性ばかりが狙われる連続殺人事件を調査することになった異常犯罪性格分析官の須磨節子(南果歩)は、かつて恋人でもあった逆洗脳士の阿久礼(若松武)が事件の鍵を握っていることをつきとめるが…。

 南果歩の目つきが個人的に大好きというのがあるのですが、主題歌のテーマが今でも記憶に残っています。

『ユメノ銀河』 石井聰互 1997
 夢野久作原作を白黒で描いた異色作です。出演は小嶺麗奈、浅野忠信。正直、ストーリーはほとんど覚えていないのですが、とても印象は良いです。「オーラーイ」というセリフの響きだけが妙に残っています。もう一度見てみたい作品です。


『エレクトリック・ドラゴン 80000V スペシャル・エディション』
石井聰互 2001
 最高です。
 ヴァイオレンス石井聰互再び、といったところですが、当然のことながら初期の暴力描写が戻ったというわけではなく、一周回って現代的なバカヴァイオレンス表現へと完璧に昇華しています。それでいて、80年代映画好きにはたまらないインディペンデントっぽいチープな仕掛けが盛りだくさんです。主演は浅野忠信、永瀬正敏。この二人のバトルという、それだけでも値打ちあり過ぎの映画です。

電気と感応し爬虫類と心を通わせるペット探偵と、電気を修理し怪電波をキャッチする男との壮絶な感電バトルが炸裂する、石井聰亙監督が放つロック映画。
 もう、このまんまです。バカすぎます。飲み屋で思いついたとしか考えられない設定です。
 一体どうしてこの人たちが戦っているのかもさっぱりわからないのですが、そんなことは全く問題になりません。見て下さい、というよりDVD買いなさい!
 さんざん戦ったあげくに、ほんにゃらイイ感じのオチのつけかたも大好きです。

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Comments

『狂い咲きサンダーロード』や『爆裂都市』は大好きでした。
長崎俊一作品の保坂ではありませんが、『爆裂都市』には現町田康が出てましたね。
町蔵主演の山本政志『ロビンソンの庭』にもはまった覚えがあります。
個人的にはPFF系といえば、園子温を思い出します。
大学の先輩だったらしく、学内で時々上映会があったからなんですが。
『自転車吐息』や『部屋』、結構好きでした。

Posted by: Mowgri at 2005年01月14日 22:12

懐かしいですね、その辺の作品。でもわたしは最近のソーゴ様も大好きなのですよ。なんというか、自主映画系の繊細そうな人が、繊細なままでいるのは好きじゃないです。図太く生き残っていく風景が素敵に見えるのです。

Posted by: at 2005年01月16日 23:32

おっしゃることはわかるような気がします。
私も『エンジェル・ダスト』以降の石井作品は好きですし。
黒沢清作品でも、『ドレミファ娘の血は騒ぐ』以前は大好きだけど、『勝手にしやがれ!』シリーズや『復讐』シリーズの図太さは魅力だと思います。
ご紹介の『エレクトリック・ドラゴン』は見ていないのですが、「しまった!」という感じです。
快作(怪作?)に違いなさそうなんで、10円玉貯金してDVDを買わなきゃ。

Posted by: Mowgri at 2005年01月22日 02:01
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