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2005年01月10日

『ユキがロックを棄てた夏』長崎俊一

 塚本晋也監督のことを書いて以来、昔見た映画の記憶が続々と蘇っています。なんだか死の予兆みたいでイヤな感じです。

 同じPFF出身監督として思い出すのが、長崎俊一監督です。『ナースコール』『死国』の監督ですが、はっきり言って両方見ていません。メジャー第一作は『ロックよ静かに流れよ』だと思うのですが、少年たちがダムにレコードを投げるシーン以外印象に残っていません。
 素晴らしいのは『ユキがロックを棄てた夏』です。
 わたしの世代でこの映画を見ている人はほとんどいないのではないかと思うのですが、PFF全盛時代には伝説的だった16ミリ作品です。硫酸をかけられ包帯を巻いた綾波ライクな少女の姿、「自動車学校中退なんだよ」と道路を蛇行する車、断片的なヴィジョンしか思い出せませんが、とにかくカッコイイ映画でした。万が一どこかで見る機会があったら、絶対に逃さないようにして下さい。
 ちなみに主演は内藤剛志。この頃の長崎作品は、ほとんど内藤剛志主演です。確か同じ日芸出身だと思います。
 他に長崎俊一初期16ミリ作品で見ているのは『夢子惨死』『クレイジィ・ラブ』『ハッピーストリート裏』などですが、『夢子惨死』は確か内ゲバでボロボロになる運動家の映画でした。時代を映しています。ひたすら暗かったことしか覚えていません(笑)。
 もう少しメジャーで、同じく内藤剛志主演による傑作が『九月の冗談クラブバンド』です。

かつては“ハマのリョウ”と呼ばれ、暴走族仲間に伝説的に語られるリョウは、バイクを捨て、「冗談クラブ」というスナックの雇われマスターをしている。リョウが走るのを止めたのは、仲間の徹司が事故死してからであり、それから一年が過ぎようとしている。

 一周忌を前に「何かが起こる」と浮き足立つ面々と裏腹に、中心にいるはずのリョウだけが静かに沈んでいきます。祭のようなバトルが始まっても、彼が駆けつけるのはいつも手遅れの現場。バイクもなく自転車を駆り、しかも坂の途中で息切れてついに押し始める場面がとても切ないです。
 この映画はヴィデオにはなっているので、どこかで見かけたらレンタルしてみて下さい。

 『闇打つ心臓』という8ミリも見ているはずなのですが、わたしが出会った時点で、もうほとんど音声が聴き取れない状態でした。フィルモグラフィにすら収録されていない『ロンドン・コーリング』という作品も記憶にあります。確かヴィデオだったと思います。ロンドンに行った監督が自分で回したフィルムです。細部は覚えていませんが、電話ボックスの青い映像と話し中の信号音だけが脳裏に残っています。


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Comments

はじめまして。少し前から拝読しています。
ここ数日は映画のことを書かれていて、興味深く読んでいました。
さすが本職の方は見方も量も違うのだなあと思ったり。
長崎俊一の映画は、『九月の冗談クラブバンド』以降のものしか観たことがないのですが、『ユキがロックを棄てた夏』、観てみたくなりました。
そういえば保坂和志が長崎の幼馴染だか何かで、高校の頃長崎の映画に出ていたけど、やがて内藤剛志に主役の座を奪われてしまった云々と言っていたのを思い出しました。
内藤の方がやる気があったから、などと言っていた記憶がありますが、やる気じゃなくて顔では・・・

Posted by: Mowgri at 2005年01月11日 00:07

保坂さんと長崎さんは中学高校と同級生ですね。出演されていたとは知りませんでした。貴重な情報をありがとうございます。

Posted by: at 2005年01月13日 22:06
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