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2005年01月26日

芥川賞受賞作品の感想

 阿部和重の『インディヴィジュアル・プロジェクション』を取り上げた直後に、『グランドフィナーレ』による芥川賞受賞が判明したシンクロニシティがありました。正確には、これをアップした時点では既に受賞が決まっていたのですが、書いていた時は全然知りませんでした。
 そんな訳で、ふと思いついて芥川賞受賞作品の感想を書いてみることにしました。

 ……と思ったのですが、調べてみると驚くくらい読んでいません。
 こちらに過去の受賞作品の一覧があるので眺めてみたたところ、好きな作家が過去に受賞しているのを発見したり、ということはあるのですが、肝心の受賞作品でお勧めしたいものがちっともありません。ひねくれた性格が反映されているのでしょうか。阿部公房の『壁』はかなりお勧めですが、ちょっと古すぎますし、安部公房には他に推奨したい作品が沢山あります。
 そんな中で、これは、という芥川賞受賞作品として思いつくのは、この作品です。

『犬婿入り』 多和田葉子 講談社文庫 410円

 第108回芥川賞受賞作品です。

多摩川べりのありふれた町の学習塾は"キタナラ塾"の愛称で子供たちに人気だ。北村みつこ先生が「犬婿入り」の話をしていたら本当に「犬男」の太郎さんが押しかけてきて奇妙な二人の生活が始まった。都市の中に隠された民話的世界を新しい視点でとらえた芥川賞受賞の表題作と「ペルソナ」の二編を収録。
 レビューを書こうにも詳細が思い出せない上、きちんと読み返す体力もなかったのでそのまま貼付けてみました。こうしてみて気づきましたが、わたしが良いと思っていたのは同じ単行本に収録されている『ペルソナ』の方だった気がしてきました。なんだか記憶があやふやです。

 今回の阿部和重さんの受賞も異色と騒がれていますが、元祖異色芥川賞作家と言えばこの人です。

『限りなく透明に近いブルー』 村上龍 講談社文庫 370円
 武蔵野美術大学出身者が芥川賞受賞というのは、当時大変なことだったようです。
 わたしは中学の頃に一時期村上龍にハマった、という微妙に恥ずかしい過去があるのですが、この作品も鳥の下りしか記憶にありません。ただ、こちらは誰が読んでもそういう印象な気がしますし、それが正しい読み方だと信じています。
 ちなみに、もし村上龍で一冊だけ選ぶとしたら、迷わず『五分後の世界』です。正直、今村上龍を読もうという気にはあまりならないのですが、この作品だけは本当にすごいと思っています。
 純粋に娯楽としては『インザ・ミソスープ』『ラブ&ポップ』もお勧め。『ラブ&ポップ』に関しては、庵野秀明監督による映画版も結構好きです。浅野忠信のスタンガンがエロいです。
 この人も作品によるムラが激しい人ですね。うまく行くか行かないかなど考えず、ガンガン量産している感じには好感を覚えます。

 それにしても、読む先からどんどん忘れていって、「良かった」「つまらなかった」などという漠然とした思いだけが堆積していくので嫌になります。まぁ、人間忘れてナンボですから、それはそれで結構なのですけれど。
 高校生の頃、あまりにも小説を忘れるのが悲しくて、カフカの『城』を詳細にメモを取りながら読んで非常な徒労感に捕われたことがあります……。

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