エイズ大流行の予兆か 必ず血液検査を
MedWaveに「エイズ大流行の予兆か、HIV感染妊婦の報告数が急増、前年度の約1.5倍に」とのタイトルで以下のような記事がありました。
日本エイズ学会で12月9日、わが国でのエイズ大流行の予兆を疑わせる数字が明らかになった。全国1600カ所以上の病院(産婦人科)から報告されているHIV感染妊婦の症例数が40件となり、前年度の報告数27例の約1.5倍に増えたという。防衛医科大学校産婦人科の喜多恒和氏が、シンポジウム3「HIVと妊婦をめぐる諸問題」の中で言及した。
先日も「女性のHIV感染者が増加」で触れましたが、エイズは決して人ごとではありません。たまたまこの間までの勤務先が相談所のすぐ近くで、年配の課長さんが「時々トイレで泣き崩れている人いるよ、まぁやましいことがなければ大丈夫だけれどね」などとおっしゃっていましたが、こんな態度こそHIVウィルスの拡散に拍車をかけているだけでなく、HIVポジティヴの方々に対して不当なスティグマを着せてしまっているのです(あやうくキレそうになりました)。
「やましいこと」の有る無しなど、まったく、微塵も、関係ありません。交通事故に遭うのが「天誅」だと思うくらい馬鹿げています。こんな考えの人は、「天誅」にあたってどうにかなって欲しいですが。
「女性のための大人のおもちゃ通販」でも触れましたが、わたし自身も血液検査を受けたことがあります。結果が出るのに2週間くらいかかり、その間非常に怖かったのを覚えています。ほんの片鱗でも、当事者の心理の一端をかいま見られたことは、大きな収穫でした。自分自身のため、愛するひとのため、そして知見を広げ無用の偏見から自らを解き放つためにも、是非血液検査を受けてみられることをお勧めします。
『神様がくれたHIV』 北山翔子 1,680円
フェミニズムに少しでも関心のある方ならご存知でしょうが、エイズとそのメディアによる意味付けについては、スーザン・ソンタグの『エイズとその隠喩』が重要文献です。エイズは恐ろしい病気ですが、十分に予防可能で、かつ現在はHIVに感染しても投薬により発症を防ぐことができます。本当に恐ろしいのはこの疾病に対し意味を読み込んでしまう蒙昧的態度です。
こんなベタなことを今更書くのも恥ずかしいのですが……。