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2004年12月09日

おすすめビジネス英語本 TOEIC高得点者の弱点を補う

 TOEICについて何度か触れていますが、TOEICのスコアが良かったら英語で仕事ができるかというと、まったくそんなことはありません。というより、本当に英語ができる人は最初からTOEICなど受けません。
 ちぶろぐさんで、「日常会話もロクにできないのにAクラスが取れてしまって、これってどうなんよ」といった内容がエントリされていましたが、本当にTOEICなどただのゲームです。もちろん、足切りとしては一定の基準になるでしょうが、「英語ができる/できない」、まして「英語で仕事ができる/できない」にはまるで直結しません。
 TOEICである程度スコアが取れてしまって、なおかつ仕事で英語を使う自信がない、という人(つまりわたしのような人w)に欠けているのは、一つにはもちろん経験ですが、今ひとつには「他愛もないスピーキングの能力」です。リスニング力とスピーキング力には相関性がある、というデータからTOEICではスピーキングが割愛されているそうですが、いくら聴き取れても定型句がしみ込んでいないとやっぱり話せません。
 この欠点を補う最良の方法がスピーキングの実践にあるのはもちろんですが、次善の策として書籍等を求めると、なかなか困ったことになります。使うとなるといわゆる「ビジネス英会話」的なものになるのですが、そこで目にするのは(TOEIC Aクラスなら)事実としては知っていることだらけの非常に拙い文例の羅列です。言うまでもなく、その基本的な文句が条件反射のように出て来ないところに問題があるのですが、なまじ点数だけ取れてしまうタイプの人間は、往々にして「こんなの簡単すぎる」と見切ってしまったりするものです。
 と、思っていたら、最近面白い本を発見しました。

『会社で使う英語 スキルアップゼミ』日向清人 桐原書店 1,785円

 ついこの間までNHKラジオビジネス英会話で講師をされていた日向清人先生の著書です。「これができればなんとかなる」「これができないと話にならない」という必要十分なパターン208に絞って徹底反復させるものです。来客応対、電話、会議、交渉、プレゼン、ライティング、の必須6分野をバランス良くカバーしています。
 それだけなら類書がいくらでもありそうですが、この本の良いところは、「なぜこの言い回しなのか」を徹底して解説しているところです。別パターンとの比較から、「なぜここは定冠詞であって不定冠詞ではないのか」「willをwouldにすることでどう変わるのか、willではダメなのか」「なぜここは過去進行形なのか、過去形にするとどう意味が変わるのか」等々、偏執的なまでに読者の疑問に先回りして詳細な説明が付けられているのです。時にしつこすぎてうっとうしくなるくらいです。
 つまり徹底反復という半身体レベルでの訓練を称揚する本であると同時に、語法に対する非常に左脳的な解説書でもあるのです。語学というと前者ばかりが褒めそやされますが、「きちんとした英語」を使おうとしたらやはり文法・語法についての一定の教養が必要ですし、一旦頭で理解することによって、その後の身体化がスムーズになることもあります。また、理屈っぽくてなかなかフィーリングに頼れない左脳人間のハートを掴む効果もあるでしょう。
 しつこいまでに基本的語法を反復解説していることも重要です。というのも、そもそも語法についての知識というものは、ボキャブラリ等と異なり、大抵の人は一度は潜ってきたものなのであり、つまり語法のほとんどは「基本的語法」なのです。語法がいい加減な人、TOEICで言えばPart5やPar6が苦手な人(つまりわたしのような人w)というのは、「そんなこと知ってるよ」と基本を疎かにしているだけなのです。しつこいくらいに繰り返されて、たまに「あ、忘れてた」と思い出すくらいで丁度良いわけです。

 ちなみに、日向先生はbe208というサイトを運営されていて、この本もこちらのサイトと連動する形になっています。

 これからビジネス英語に取り組もう、という人はもちろん、TOEIC等のテストでそこそこ点数が取れるのにやっぱり話せない、という方に是非お勧めしたいです。

関連記事:
「TOEIC対策お勧め教材 総合編」
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Comments

ご無沙汰です。

わたしは英語使って仕事してますが、ちゃんとした英語使えません(笑) TOEICも英検も受けたことありません(問題は見たことありますが、とても高得点を取れそうではありませんでした)

高校ん時のクラブの顧問が英語の先生で、なぜかクラブ活動中に文法を叩き込まれたのが唯一の足掛かりかな。
あとは中国の工場地に一週間ほっぽってこられて、中国語はもっと拙いので英語で喋るしかなかったというのが会話の度胸を度胸を身に付けた経緯。
そろそろちゃんと習いなおそうかと思う今日この頃です。

Posted by: mike_n at 2004年12月10日 13:03

なんというか、結局英語を使わなくちゃいかんシチュエーションにならないと英語はこれ以上うまくならない、つかやる気出ないと悟った今日この頃です。

Posted by: ちぶさん at 2004年12月10日 21:23

>mike_nさま
まぁ、わたしも翻訳はやっていますし、実際に現場に行けばなんとかなるのでしょうけれどね(笑)。なかなか仕事させてもらえないのが悲しいのです。

>ちぶさん
本当にそうですね。というか、逆に追いつめられれば意外なほど出てくるものです。そういえば先日、派遣会社のスキルチェックで英語面接なるものをはじめて受けましたよ(笑)。めっちゃ緊張しました。

Posted by: at 2004年12月14日 21:37
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