バイクでは華氏451度に達しない

　先日お友達と話していて、ふと思い出したことがあります。昔まだ単車に乗っていたころの体験です。

　喫煙者にとって、煙草はあるけれど火がない、という状況ほどストレスフルなものはありません。ガスレンジでも何でもお構いなしです。はっきりいって、前髪焦がしたことあります。
　自宅ならそれでも良いのですが、出先となると厄介です。
　一度、バイクで行った先でそんな状況がありました。ロケハンと称してあちこち走り回っていた頃の出来事です。ライターを売っている場所も見当たらず、人通りもありません。突然、ある考えがひらめきました。
「バイクなら、どこか火がつく場所があるはず！」
　何せ中では一分間に何百回もガソリンが爆発しているのです。煙草の火くらい容易につけられるに違いありません。
　そう思ってあちこち探してみたのですが、どこにも火がつくほど熱い場所がありません。百度には達しても、紙の燃える華氏451度ほどには熱くならないようです。
　人に見られたらかなりみっともない試行錯誤を繰り返した末、とうとう諦めました。

　バイクでは華氏451度に達しません。単車で出かける時は、ライターをお忘れなく。
華氏451 フランソワ・トリュフォー DVD 1,575円

　ちなみに、ロケハン用の乗り物は、断然バイクか自転車がお勧めです。車ですと、場の空気みたいなものを感じられませんし、停まりたいところで急に停まれず不便です。
　ロケーションジャパンという雑誌を見つけてふと思い出しました（ロケハン用もさることながら、映画ファンのためのロケーション紹介雑誌です）。発行元を見てみると、「株式会社地域活性プランニング」とあり、「 地域開発のための調査、コンサルティング」を目的としているそうです。欧米に比べると日本の街は映画撮影などに極めて非協力的なものですが（わたしはゲリラを通報されてパトカー3台に包囲されたことがあります笑）、これが民間の力で地域活性と文化活動を結びつけようとするものなら、大いに期待したいところです。本当はこういうことは、官公庁などにリードしてもらいたいところですが……。