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2005年02月27日

ソーラータワー 巨大太陽熱発電が実現へ

 小型原子炉並みの電力供給が可能な持続利用可能発電が動き出した、というニュースです。Wired Newsより。

 オーストラリアの内陸部で、約100平方キロメートルの羊牧場が、グリーンエネルギーの新しい形を追求する試みのために買収された。(…)高さ1000メートルの塔を中心とした太陽熱発電所、『ソーラータワー』を建造するのだ。
 (…)このリニューアブル(持続的利用可能)エネルギー発電所は、小型原子炉並みの電力供給能力を持ちながら、完全に安全だという。(…)
 ソーラータワーの内部は、煙突のように中空になっている。基盤部分には、透明な太陽光集光装置が約100平方キロメートルにわたり円形に広がる。集光装置の下の空気は太陽熱により暖められ、対流の原理−−暖かい空気は上昇する−−によって煙突状になった塔の中を上っていく。上昇する際に、暖まった空気は秒速約15.6メートルまで加速し、塔の内部にある32基の風力タービンを回す−−こうして、従来型の風力発電施設と同じように、タービンが電気を生み出す。

 こういう「未来」な話題は大好きです。こちらにquick timeがあるので、是非ご覧になってみてください。
 太陽光と言ってもいわゆる太陽電池ではなく、太陽光を集光しタワー内の空気を加熱、これで起こった上昇気流によってタービンを回す、という堅実なメカニズムです。太陽電池は夢いっぱいで素敵なのですが、変換効率が悪すぎます。「ソーラータワー」のシステムなら、原理もシンプルですし、「小型原子炉並み」なら十分実用に耐えるのではないでしょうか。
 ただ一つ気になったのは、以下の記述です。

 (…)ソーラータワーには、風力発電所や太陽光発電装置にはない大きな利点がある。風がなくても運転可能なうえ、24時間稼働するのだ。エネルギーの貯蔵用に太陽電池が用意されており、日中に熱を蓄えることで、タワーは途切れることなく、常時発電できる。

 「貯蔵用に太陽電池」? 蓄熱するのではなく、電気に代えた上で貯める、ということでしょうか。ソーラータワーの周りのパネルは、単に光を集めるだけのものですから、要するにただの鏡のはずです。これとは別に太陽電池パネルがあるとは思えませんし、よくわかりません。
 変換する度にロスが生じるのは当然ですから、「あったかいもの」は「あったかいもの」のままに水で蓄熱する等ならわかるのですが……。

 この手の話題が出た時にはDo you think for the future?さんをいつもチェックするのですが、取り上げられていません。
 こっそり期待しながら待ってみます。

『地球持続の技術』 岩波新書 小宮山宏 777円
 読んだのは大分前なのですが、すっきりとわかりやすい本でした。「熱は一カ所にぎゅっと集まってるから値打ちがあるんや!」と文系人間でも納得できました。「油田の火事」の例えなどは見事です。
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 太陽電池ではなく太陽熱温水器です。最近は流行りでないのかもしれませんが、電気に代えてロスするのではなく、そのまま熱として使う、というスピリットが素敵です。

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Comments

リクエストに釣られて出てきました。

本家の本家のサイト
http://www.enviromission.com.au
EnviroMission Limited を見てみた範囲では、太陽電池の話なんかどこにもないようです。 

How many hours in a day will it generate electricity?
というQuestionに対するAnswerは、

EnviroMission’s Solar Tower is proposed to generate electricity 24-hours a day. The power station will be at its most efficient on the hottest days when energy is most needed and peak prices are paid for electricity.

Re-radiation of heat present in the ground under the collector zone will provide the energy source during the night.

ということで、夜間は昼間に太陽熱で暖められた地熱を利用し、昼間と同様に発生する対流を利用した風力発電をしているように読めますけど。

ちなみに、Hot Wired の本家のニュースでは、

But the Solar Tower has a major advantage over wind farms and solar generators: It can operate with no wind, and 24 hours a day. Thanks to banks of solar cells, the tower stores heat during the day, allowing it to produce electricity continuously.

と書かれてますから、翻訳ミスというわけではなさそうです。でも日中の熱を太陽電池に蓄えるというのは筋が通りませんから、本家 Hot Wired の記者さんの誤解じゃないでしょうか?

Posted by: tf2 at 2005年02月28日 01:03

あわわ……わざわざコメント頂戴してしまい、恐縮の至りでございます。ありがとうございます!
やっぱり太陽電池はおかしいですよね? Re-radiation of heatとあるから、あったまったものをそのまま活用するんですよねぇ。だって、鏡とは別に太陽電池があったらなんかヘンですものねぇ。あまりよくわかっていないのですが。
でも確かにThanks to banks of solar cellsとあるんですね。wired newの記者さんも結構うっかりですね。

Posted by: at 2005年02月28日 22:02

本家のサイトを見ました。
そのこ「Tecnoiogy」の動画を見ると、地下に比熱の高い/蓄熱効果の
高い素材でできたのユニットを埋めて夜間放熱させる仕組みみたいですね。
このユニットを「太陽電池」と間違えたのでしょうか・・・。

でもこの仕組みすごいですね。太陽の光を鏡で集めてお湯を沸かして
タービン発電する太陽光発電ってのがありますけど、それよりシンプル
で素敵です。
でもタワーとしてはかなり高いんですね。こんなに高いタワーで局所的に
上昇気流を発生させると環境的に・・・とか環境団体がうるさいかも。
実現にはまだまだイロイロ乗越える問題がありそうですが、実物見てみた
いですねー

Posted by: ike at 2005年03月01日 13:05

>こんなに高いタワーで局所的に上昇気流を発生させると環境的に・・・とか環境団体がうるさいかも。
 なるほど。クリーンエネルギーで大喜び、というほど単純じゃないですね。考えていませんでした。
 まぁ、それを言い始めたらなんでもイチャモンつけられるでしょうし、当然ながら問題は色々あるでしょうけれど、とにかくこういうことを一歩でも前進させよう、という意気込みを応援したいです。それなりにビジネスモデルとして成り立っているところが素晴らしい。
 ちなみに文句を言って生活できているタイプの市民団体などもリスペクトします。皮肉ではなくて、世のためになっている証しとして誇りに思って良いでしょう。

Posted by: at 2005年03月01日 23:01
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