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2005年01月15日

『子猫が読む乱暴者日記』 中原昌也

 阿部和重についてのエントリで触れた中原昌也さんです。
 もう、この人を読まないと始まりません。

『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』 河出文庫 473円
 初めにこの本を読んだときの衝撃は忘れられません。その割に内容はほとんど忘れました(笑)。
 元々ミュージシャンである中原さんが文学へ乗り込んだわけですが、異業種系出身作家にありがちなベタなストーリーものではまったくなく、かといって狙い切ったポップなものでもありません。こういう乾燥した文体というのは九十年代くらいからの流行りな気がするのですが、作為でやっているというより、本当にそれしか書けないようです。この辺りのリアリティが、中原昌也を「本物」にしているのかもしれません。
 ハードカバー版の帯に推奨者として名を連ねているのも、小西康陽、小山田圭吾、石野卓球、望月峯太郎、清水アリカという何の本だかわからない面々です。短編ばかり書いているところにも、個人的にシンパシーを覚えてしまいます(笑)。
 個人的に一押しなのが、二冊目のこの本です。
『子猫が読む乱暴者日記』 中原昌也 1,260円
 一冊目だけですと「勢い」という可能性もあるのですが、ますます磨きがかかっています。断章の裂け目に不可能なものとしての現実が覗く切れ味は、圧倒的です。「闘う意志なし、しかし、殺したい」など、タイトルだけで倒れそうなくらい惚れ惚れします。帯にある清水アリカ氏の推奨文が「前作より面白い」と身も蓋もなさすぎるのも最高です。ちなみに清水アリカさんはウィリアム・バロウズの翻訳をなどをされている方で、小説では『チャーリーと水中メガネ』などがお勧めです。
 暴力温泉芸者としても知られる中原さんの人となりについて知りたい方には、『サクセスの秘密』という対談集があります。タイトルも表紙も、もちろん狙っているだけです。本人に確かめたわけでもないですが、勝手に断言しておきます。

 中原昌也さん、もしこれをご覧になっていたら、一度デートして下さい。

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Comments

最近『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』ではじめて中原昌也を読んで、
そのナンセンスっぷりに感心しました。
音楽方面ではデス渋谷系を自認されているので
デス渋谷系文学と言ったところでしょうか。

エッセイなどを読むと金が無い金が無いというが本当に無いのかしらと思っていたら、
知り合いから、中原さんは彼女の財布から6万円を抜いて逃げて、
知り合いの家を転々としていたと聞きました。
本当に金が無いみたいでなんだか感心してしまいました。
『子猫が読む乱暴者日記』面白そうなので今度読んでみます。

Posted by: nobuta at 2005年01月16日 03:52

中原さんは本当にお金が欲しいみたいですよ。ちょこっと噂も聞きます(笑)。素晴らしいです。わたしも欲しいです(笑)。

Posted by: at 2005年01月19日 22:53
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